企業のセキュリティー担当者にとって、ソフトウェアの弱点を探す作業は、時間も手間もかかります。
大規模なソフトウェアには、数十万行を超えるコードが含まれることもあります。担当者は大量の警告を確認しながら、本当に危険な問題なのかを一つずつ見極めなければなりません。
マイクロソフトは、こうした負担を減らすため、AIを活用した新しいセキュリティーツールを発表しました。
新たな仕組みには、セキュリティープラットフォーム「Project Perception」と、サイバーセキュリティー向けに開発された「MAI-Cyber-1-Flash」が含まれます。
一般的な対話型AIとは違い、コードを調べて不自然な部分を見つけ、攻撃につながる可能性がある弱点を探すことに重点を置いています。
仕組みは比較的シンプルです。日常的な確認作業は、小型で動作の速いモデルが担当します。判断が難しい問題は、より高性能なモデルや人間の専門家に引き継ぎます。これにより、調査にかかる時間や費用を抑えられるとしています。
マイクロソフトによると、MAI-Cyber-1-FlashをGPT-5.4と組み合わせたところ、サイバーセキュリティーの性能を測る「CyberGym」で95.95%のスコアを記録し、一部の競合サービスを上回りました。
同社は以前にも、複数のモデルを組み合わせたシステムを使い、Windows関連の部品から16件の脆弱性を見つけたと発表しています。
ただし、試験で高い成績を出しても、実際の現場で同じように働くとは限りません。
企業のシステムは複雑で、問題がない場所を危険と判断したり、本当の弱点を見落としたりする可能性もあります。重要なシステムや個人情報を扱う場面では、経験を持つ担当者による確認が欠かせません。
このツールの役割は、人の仕事を奪うことではなく、繰り返しの多い作業を引き受けることにあります。担当者は、より深い判断が必要な問題や、実際の対策に時間を使えるようになります。
マイクロソフトは、まず一部の顧客向けに提供を始める予定です。ほかの大手IT企業も同じ分野への投資を進めており、サイバーセキュリティーはAI開発競争の新たな焦点になりつつあります。