1. ナレッジワーク
Grok 4.6で意外と強いのが、調査や分析を含むナレッジワークです。
GDPVal-AA v2では1753を記録し、GPT-5.6 Solの1728、Fable 5 Maxの1741を上回っています。
このベンチマークは、単純なチャット能力というより、リサーチ、分析、ビジネス文書、専門的な知識作業に近い内容を測るものです。
これまでGrokというと、リアルタイム情報や独特の会話スタイルの印象が強めでした。4.6では、業務で使うモデルとしての弱点がかなり埋まってきています。
調査、資料整理、文書分析といった用途なら、最上位クラスのモデルと十分競える水準です。
2. コーディングとソフトウェア開発
世代差が分かりやすいのはコーディングです。
CursorBench v3.2は、Grok 4.5の66.7%から69.9%へ。ここは着実な改善です。
一方、DeepSWE v1.1は54%から65.9%まで一気に伸びています。
単にコードスニペットをきれいに書けるようになっただけではなく、既存コードの理解、バグ修正、既存プロジェクトへの変更といった、より実務に近い作業が強くなったと見ていいでしょう。
ただし、重いソフトウェア開発ではまだ差があります。
GPT-5.6 SolはDeepSWEで73%。Terminal-BenchではGrok 4.6が26%なのに対し、GPT-5.6は34.6%です。
普段のコーディング、バグ修正、Agentを使った開発ならかなり実用的です。一方で、複雑なCLI操作、環境構築、大規模な変更になると、最上位モデルのほうがまだ安心感があります。
3. Agentと自動化
Grok 4.6のAgent性能で面白いのは、何か1つのスコアだけが飛び抜けたというより、一連の実行フロー全体がまともになってきたことです。
APEX-Agentsは57.5%で、GPT-5.6 Solの56.7%をわずかに上回りました。
タスクを分解し、ツールを呼び出し、結果を読み、その内容を踏まえて次の処理へ進む。こうした流れが以前よりかなり安定しています。
一般的な自動化、リサーチAgent、開発ワークフローなら、すでに十分使えるレベルです。
感覚としては、仕事は速いけれど、まだ完全に目を離せる部下ではない、くらいが近いです。
短いタスクなら問題になりにくい一方、数十〜数百ステップに伸びると、後半で抜けや判断のズレが出ることがあります。
長時間動かすAgentとして使えますが、「投げたら完全放置でOK」という段階ではありません。
4. 長いコンテキストとマルチモーダル
Grok 4.6のコンテキストウィンドウは50万Token。
かなり大きなコードベース、長文資料、表計算、長期間のAgent履歴まで扱えます。
コード、PDF、文書、表などに対応し、画像生成やインタラクティブなプロジェクトも扱えるため、マルチモーダル面も一通り揃っています。
多くの企業利用や開発用途なら、50万Tokenあれば十分でしょう。
問題は容量より料金です。20万Tokenを超えたところでAPI単価が上がるため、長時間動かすAgentではコンテキストを無制限に積み上げない設計が重要になります。
5. Grok 4.5からどれくらい進化した?
今回の改善には、より長いポストトレーニング、エンジニアリング系データの強化、コーディングとナレッジワーク向けの追加強化学習が効いています。
ただし、すべての項目が同じように伸びたわけではありません。
CursorBench v3.2は66.7% → 69.9%。こちらは順当なアップデートです。
一方、DeepSWE v1.1は54% → 65.9%。今回はこちらの伸びのほうが重要です。
ナレッジワークやAgentも含め、4.6は単なる「4.5の高速版」というより、実運用できる領域そのものが広がったモデルに見えます。
もちろん弱点は残っています。複雑なターミナル操作、極端に長いAgent実行、大規模なソフトウェアエンジニアリングでは、最上位の競合モデルのほうがまだ安定しています。
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