Hy-MT2-30B-A3B

Hy-MT2-30B-A3B という名前だけ見ると、かなり難しそうです。 30B、A3B、MoE。モデルに詳しくない人には、少し入りにくい名前です。 でも、実際に見るべきところはそこではありません。 いちばん気になったのは価格でした。
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会社Tencent
コンテキスト8K
リリース2026-08
更新日2026-09-02

Hy-MT2-30B-A3B 概要

Hy-MT2 は Tencent Hunyuan が 2026年5月にオープンソース化した多言語翻訳モデルです。

1.8B、7B、30B-A3B の3モデルがあり、30B-A3B はこの中で最も大きいモデルです。

採用されているのは MoE、いわゆる混合エキスパート構成です。

総パラメータ数は約300億ですが、1回の翻訳で実際に動くのは約30億パラメータ。大きなモデル容量を持ちながら、毎回300億パラメータ全部を動かす必要はありません。

対応言語は33言語です。

中国語と英語、英語と他言語の翻訳に加え、チベット語、ウイグル語、モンゴル語など一部の少数民族言語にも対応しています。

翻訳時には、用語の固定、文体の指定、書式の維持、文章の長さなども細かく指定できます。

Hy-MT1.5 からの変化でわかりやすいのは、指示への従いやすさです。

「何を訳すか」だけでなく、「どう訳してほしいか」まできちんと反映しやすくなっています。

Hy-MT2-30B-A3B 料金プラン

プラン価格説明
入力 $0.074 入力token数に応じて課金
出力 $0.295 出力token数に応じて課金

Hy-MT2-30B-A3B 主な機能

1. 専門分野の翻訳

30B-A3B は、金融、法律、政治、教育など8つの専門分野向けに最適化されています。

DomainMTBench では、XCOMETスコアが金融分野で97.08、法律分野で89.15でした。

専門翻訳で困るのは、派手な誤訳だけではありません。

たとえば十数ページある技術文書で、3ページ目ではある用語をAと訳していたのに、9ページ目ではBになっている。

法律文書では、一つ一つの単語は合っているのに、文章全体の論理関係が崩れている。

こういうミスのほうが、実務では厄介です。

単文だけを見ると気づきにくくても、文書全体ではかなり目立ちます。

30B-A3B の良さは、こうした専門文書での安定性にあります。

2. 指示に従いやすい

Hy-MT2 は、Hy-MT1.5 より指示への追従がかなり改善されています。

たとえば、

「簡潔に訳し、1文を15語以内にする」

といった条件を付けられます。

用語集を渡して、「この言葉は必ずこの訳にする」と指定することもできます。

実際の案件では、条件は一つではありません。

書式を変えない。

句読点を残す。

フィールド名は翻訳しない。

商品名は固定。

文体も統一する。

一つずつなら簡単でも、条件が重なると抜けが出やすくなります。

Hy-MT2 はこの部分を強化しています。

Tencent が公開した IFMTBench では、30B-A3B の複雑な指示に対するスコアは84.69でした。

個人的には、「自然な文章かどうか」だけを見るスコアより、こうした指示追従の数字のほうが実務では参考になります。

本番で使えるかどうかに直結するからです。

3. 実際の業務に近い翻訳性能

Hy-MT2-30B-A3B は WildMTBench で GEMBA 89.87 を記録し、この評価では Gemini 3.1 Pro を上回っています。

WildMTBench は、きれいに整えられたテスト文より、実際の翻訳現場に近いデータを使う評価です。

ここはかなり見ておきたい部分です。

業務で扱う文書は、ベンチマークの例文のように整っていることのほうが少ないです。

技術資料なら略語、表の項目、英語と日本語が混ざることがあります。

営業資料には業界用語が入ります。

契約書は長い文章や入れ子構造が多くなります。

こういう少し面倒な文章でも崩れにくいかどうか。

その点で、WildMTBench の結果は参考になります。

4. Hy-MT1.5から何が変わったか

一番わかりやすいのは、やはり指示追従です。

Hy-MT1.5 は複数の条件を一度に出すと、一部を落とすことがありました。

Hy-MT2 では、用語、書式、長さ、文体などをまとめて指定しても、以前より安定して処理できます。

少数民族言語の翻訳性能も上がっています。

チベット語、ウイグル語、モンゴル語などを含む評価では、30B-A3B の XCOMET スコアは62.44で、同じ比較では Gemini 3.1 Pro を上回っています。

Hy-MT2 シリーズは低ビット量子化にもかなり力を入れています。

30B-A3B 自体はサーバーやクラウド向けですが、小型モデルにはその技術がそのまま生きています。

1.8B版は約440MBまで小さくでき、スマートフォン上でもローカル推論が可能です。

大きいモデルは専門翻訳、小さいモデルは端末側。

シリーズ内の役割分担はかなりはっきりしています。

まとめ

Hy-MT2-30B-A3B で一番気になるのは、30Bという数字そのものではありません。

金融や法律などの専門翻訳に強く、細かい指示も通りやすい。MoEなので、実際に動くのは約30億パラメータです。

そこに、7Bと同じAPI料金が乗っています。

この組み合わせはかなり珍しいです。

毎日のように契約書、金融資料、技術文書、海外向けコンテンツを翻訳する会社なら、最初から30B-A3Bを試していいと思います。

チベット語、ウイグル語、モンゴル語などを扱う組織にも相性がいいです。

弱点もあります。

8,192 token のコンテキスト長は、長文翻訳用としてはあまり余裕がありません。

数十ページある契約書や論文、大型の技術資料は分割が必要です。

Function Calling にも対応していません。

なので、AIエージェントの基盤や万能アシスタントとして使うモデルではありません。

かなり割り切った翻訳モデルです。

おすすめできる人

海外展開、ローカライズ、越境ビジネスを担当しているチームや、法律・金融・技術文書を日常的に扱う会社。

翻訳が「たまに使う機能」ではなく、業務フローの一部になっているなら、30B-A3Bを選ぶ理由は十分あります。

おすすめしにくい人

たまにメールを1通訳す、数行の会話を訳す、といった使い方なら、30B-A3Bは必要ありません。

無料のオンライン翻訳でも足りますし、Hy-MT2を使うとしても7Bで十分です。

30B-A3Bの価値が見えてくるのは、翻訳が日常業務になってからです。

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Tencent モデル比較

モデル コンテキスト 料金 API リリース グローバル熱度
Hy-MT2-30B-A3B
8K YES 2026-08
8K YES 2026-08
1M YES 2026-08
262K YES 2026-07
59/100

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